高く売れるものは?

高く売れるものは?
point1

新しい方が高いもの、古い方が高いもの

例えば小説やビジネス書、資格受験本、最近のトレンドに沿った実用書などは新しければ新しいほど査定価格が高くなる傾向があります。再度お読みにならないのであればできる限り早めにお売りになったほうが良いでしょう。
その反対に読んだらすぐに捨てられてしまうような雑誌などは古ければ古いほど流通量が少なくなり古書相場としては高くなる傾向があります。
また、さまざまな資料•紙ものは太平洋戦争より前のものは内容にかかわらず “ただ古い” というだけでそれなりに評価されてしまうことさえあるのです。

point2

ベストセラーよりマニアックなもの

「ベストセラーの発行はお祭り状態」と、どこかでどなたかが表現しているのを目にした記憶があります。普段読書をしないような方々も巷で話題になっているその本を購入し世の中全体が盛り上がる。まさにお祭りです。
しかし、発行部数が多いということは言い換えれば供給量が多いということです。本を読む習慣のない方たちの書棚にも並んでいる状態です。数年後、その本を古本として購入したい方がどれだけいるでしょうか?華やいだ祭りのあとは寂しいものです。
逆に、発行当時はそれほど注目されていなかったものが現在になって評価されるということがあります。そのような本は市場に流通している量が少ないため価格が高止まりする傾向があります。喉から手が出るほど欲しいという人がいる一方で関心のない人から見れば「なんでこんなヘンテコな本が高いのだろう?」と首をかしげる事態が起こるのです。

学生時代にお世話になった学術書はどうでしょうか?
タイトルに入門•序説•概論とついたものはその学問を初めて学ぶ人たち向けに書かれたテキストです。発行部数も比較的多いですし、新版が出ることも多く陳腐化しやすくなります。
しかし、専門課程で使用されるテキストは対象となる読者層が絞りこまれるため初版の段階から流通量は少なくなります。堅い学術書も対象となる人が少ないほど価格は高い傾向にあります。

point3

高いものよりタダのもの?

実は出張買取のお問い合わせで最も多いのが大手出版社が発行した「百科事典」「日本• 世界文学全集」「日本•世界美術全集」の重厚長大トリオです。
昭和の時代、高度経済成長 を迎え定価の高いこれらの揃いものを応接間に並べるのがお子さんへの情操教育にもなると宣伝され、またステータスでもありました。

「買ったときは高かったんだヨ?」

お気持ちはよくわかります。きっと古本として高く買取ってくれるはず、そうお考えになるのもごもっともです。
でも、ちょっと想像して下さい。これらの重厚な全集を、今、中古本として購入し書棚に並べようとするご家庭がどれだけあるでしょうか?わからない言葉や知りたいことがあれば重たい百科事典をハコから取り出してページをめくらなくてもインターネットで検索できます。著名作家の小説は電車の中でも読みやすい文庫として出版化されています。
世界中の名画だってパソコンやタブレットの画面で見ることが出来るのです。

購入時に高かったものは誰でも大切に保管しておきます。安かったものや無料で貰ったものほどすぐに捨てられてしまいます。ということは一般的に、大量に発行された印刷物は定価の高いものほど需給バランス的に不利とも言えるのです。

ひとつだけ例を挙げさせていただきます。戦後間もないころの映画パンフレットは現在高く売り買いされています。ものによっては数十万円という値がつくことさえあります。
しかし、実はパンフレットより同じタイトルのチラシの方が高い相場を維持しているものは珍しくありません。ただで貰ったものよりもお金を払って手に入れたものを大切に保管するのは人情です。容易に手に入れたものほどぞんざいに扱ってしまう。
まさに Easy come,easy go. なのです。
古本相場は一筋縄では行きません。

古本の査定価格はどのように決まるのでしょうか?

ひとことで言えば「需要」と「供給」のバランスで決まります。

ある本を欲しいと思っている人に対して世の中に出回っている量が少なければその本の値段は高くなり、その反対に欲しいと思っている人に対して本の流通量が多ければ安くなります。

「価値のある本は高く買います」という宣伝文句を他店様のWebサイトや広告などでご覧いただくこともあると思いますが、ここでいう「価値」とは本の内容の善し悪しではありません。発売時の定価でもありません。残念ながら所有されていた方の思い入れでもありません(ムッとされた方もいらっしゃるかと思いますが、どうか最後までお読み下さい)。

古本の査定は、あくまで「需要」と「供給」のバランスに基づくのです。

古本相場を理解するための糸口をいくつか紹介させていただきました。これらはあくまで一般論で例外もあります。いや例外の方が多いかもしれません。

私の拙い文章ではますます混乱させてしまったかもしれません。しかし簡単には説明できないほど古本の世界は奥深いとも言えます。

処分にお困りの本がございましたら、ぜひ一度お問い合わせ下さい。

皆様が「古くて汚くて価値なんかなくて人様に査定してもらうようなものではない」と部屋の隅っこに投げ置かれているようなものの中にお宝が眠っていることは日常茶飯事です。出張買取の際はどうか全て拝見させて下さい。需要が高い本・雑誌・資料・紙もの・刷りものは見逃しません。

Amazonやオークションサイトで売り買いされている価格だけで値をつけることは簡単で誰にでもできることです。古本の世界はインターネットの外にも広がっています。むしろ広大で深い世界が広がっています。視野を広く持たないと皆様の愛蔵書の中にあるかもしれないお宝を見逃してしまうという悲劇が起こります。文化的損失です。

古書業界には40年選手50年選手は珍しくありません。そのような大先輩方から見れば私のようなたかだか経験10年ほどの者など鼻垂れ小僧のようなものでしょうし、実際私自身そのように自戒しています。さまざまな古書・古物市場に出入りすることによって落札相場をチェックし勉強し続けております。

冒頭で「本の価値は所有者の思い入れで左右されない」という内容の辛辣な言葉を投げかけましたが本音は少し違います。大切にされていた本は買取の際に分かるものです。

皆様の蔵書は大切に扱わせていただきます。

ぜひ松尾堂に本の買取をおまかせ下さい。