「文庫本が100冊ほどあるので引き取って欲しい」
というご依頼で出張買取に伺いました。
差し出されたダンボール箱をあけると文庫本が平積みになっています。30年以上前の推理小説がほとんどで、正直に言うとお値段をつけるのが難しいものばかり。
こちらから「恐縮ですが・・・」と謝ろうとしたところ反対にご依頼人は「せっかく来てもらったのにごめんなさいね」と申し訳なさそうな顔をされています。とても人の良さそうなお方です。
なんとかお役に立てないかとあたりを見回してみると、壁際の棚の一番下の段に古い時刻表が積まれているのが目に入りました。
「この時刻表は欲しい人多いですよ」
と申し上げると、ここにもあります、と別の場所からダンボール箱に入った時刻表を出して頂きました。
60年代から90年代にかけての時刻表が80冊ほど。
そのうち70年代より古いもの約40冊にお値段をつけさせて頂きました。
査定金額をお伝えするとご依頼人は
「え!?こんなゴミみたいなもので、そんなにお金を頂いていいんですか?」
と大変驚かれています。
この一連のやり取りは出張買取をやっていていつも面白いなと思います。
ある人にとっては宝物でも、他の人から見ればただのゴミにしか見えない。
ゴミにしか見えないから買取ってもらおうと思わない。
そこをたまたま古本屋が見つけて、お値段をご提示して、その金額に驚かれる。
今まで何回も何十回も経験してきたやり取りですが毎回楽しい気分になります。
ご依頼人はびっくりされて、そして、喜んで頂ける。
私も良いものを手に入れてうれしい。
さらにその本を探しているであろう将来の買い手も(きっと)うれしい。
古本出張買取のささやかな醍醐味ですが、これからも何度でも味わいたいものです。出張買取でおじゃましたときはゴミと決めつけず、すべて拝見させて下さいますようお願いします。