2016-10-23
「かなり前に他界した兄が持っていた古い本や資料がたくさんあります。私には良いも悪いも判断がつかないので出張買取に来てもらえませんか?」
お電話のご依頼を受け出張買取のご予約を頂きました。
本日お伺いすると、1階和室の畳の上に山のように積まれた古い本・資料が鎮座しています。
紙袋に詰められたものや風呂敷に包まれたもの、紐で縛られたものなど様々です。
「これらの本はどこに保管されていたんですか?」
「私は東北地方の出身ですが、20年以上前に飯能に移る際に実家から運び出してこの家の収納に保管してきました。今回松尾堂さんを知り、これをきっかけに健康なうちに整理をしたいと考えたんですよ。」
昨日のさいたま市での出張買取と同様に「元気なうちに終活」ということのようです。
早速古書の山に分け入り探索を開始しました。
ご依頼人のお兄様は学者だったようで所々から現れる資料や本から相当な方だったことが伺えます。
古い英文資料や論文のようなもの、私的な書類やよくある戦後の全集などジャンルも年代も様々です。
「こんなにたくさんの本をここへ運ぶだけで大変だったでしょう?」
戦前のものが多く重量が軽いものが多いとは言えかなりしんどい作業だったはずです。
「それはもう。おかげで両足が筋肉痛です」
と苦笑いされるご依頼人。
書物の山の中から見つけ出し、お値段をおつけしたのが・・・
戦前の満州関連本・資料
絵図・和本・文書類
福原麟太郎著作集
その他に床の間の前に平積みにされていた・・・
国際情勢について書かれた単行本や新書に時代小説文庫。こちらは最近のものばかりですからお兄さんのものではなくご依頼人の蔵書です。
「明治・大正・昭和戦前戦中期の満州や台湾、朝鮮の本や資料は人気があるんですよ」
とご説明すると
「そうなんですか!いやー 参ったなぁ。兄貴は戦時中まで台湾で暮らしていたんですよ。台湾の書物はかなり持っていたんですが・・・」
天を仰ぐご依頼人の様子から、ご実家に置いてきてしまったのか、飯能に持ってきたけど処分してしまったかわかりませんがとても後悔されているように見えました。
「お兄さんの台湾の書物はどうされたんですか?」
「引き揚げの際に兄貴が乗っていた船が敵潜水艦の攻撃に遭い、海に沈んでしまったんです」
予想外のご回答に絶句。ご依頼人の判断の外のことですからどうしようもないことです。
「お兄さんの命が助かっただけでも善しとしなくては、ですよね」
と答えるほかはありませんでした。
買取代金をお支払し、搬出のために本を整理しながら時代小説の話に花が咲きました。
ご依頼人の時代小説作家論はたいへん面白く、興味深く拝聴しました。
値段がつかなかった本は買取が成立しているため当店で引き受けることも可能でしたが、ご自分でゆっくりと処分をしたいというご希望でしたのでそのままになりました。
「時間をかけてコツコツ整理していきます。今日はありがとうございました」
と御礼の言葉を頂きました。
戦中期より古い本や資料、古文書などの出張買取は松尾堂にご相談下さい。
当店では皆様のお宅まで出張買取に伺っています。
所沢市・狭山市・入間市・三芳町・川越市・新座市・東大和市・東村山市であれば少量から、その他の地域は数量と内容によって直接お伺いし出張買取させて頂きます。荷造り・運び出しの必要は全くありません。本棚に収まっている状態でも大丈夫です。
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ぜひご活用下さい。