2016-11-05
10日前に出張買取に伺った古本ファンの方から再度のご依頼を受けました。
新規のご依頼もうれしいですが、再度声をかけて頂いた際の喜びはひとしおです。
当店のご常連様は1年に1回の方もいれば数ヶ月毎という方もいらっしゃいますが、今回はまだ日が経っていません。
先日の買取では倉庫に保管されていた蔵書をみかん箱で30箱弱お譲り頂きました。
（そのときの様子は青文字をクリックまたはタップして頂けるとお読みいただけます）
本日訪問するとさらに箱が増えています。しかも一回り大きなものがその半分ほど。
一番見やすい場所には前回と同様に澁澤龍彦がらみの書籍と、その奥にはいわゆる”本の本”が詰められている箱が置いてあります。
本の本、とは本や雑誌に関する本、出版や書店・古書店に関するもの、それらの業界について書かれたものなどの総称です。本好きな方には人気のあるジャンルのひとつです。
今回もある程度ジャンルごとに箱詰めされており箱ごとに査定額をメモして行きます。一見なんでもないような箱でもこのご依頼人の場合は何が飛び出してくるか分からないのは前回経験済みですから、かなり慎重に査定し続けます。
と言っているうちに普通の映画パンフの箱から太陽にほえろ！や西部警察の大型本が顔を出しました。ちょとしたレア本です。まったく油断も隙もありません。
赤江瀑・庄野潤三などの初版本の山、福永武彦全集、春陽堂版の鏡花全集、青林堂コミック、横尾忠則や中島千波の大型本、ほるぷ出版の名著復刻全集など様々なジャンルの箱を開封し次々と査定。
査定しながら疑問に感じたのは、同じ本が並んで置いてあるケースが多いこと。開高健や原弘の同じタイトルがたくさん飛び出します。
保管用と手にとって読むためのものとで複数所有される方は時々いらっしゃいますが、どちらも箱に入れられて倉庫で保管されていたのですからそういう訳でもなさそう。ご依頼人に尋ねると
「古書店で見つけたときに、安いな、と思うと買っちゃうんですよ」
というお返事。
なるほどそういうものなのかな、と妙に納得。
31箱を査定し、残り4箱ほど。ここまでインパクトのある「高額査定」と言えるまでの箱はありませんでしたが、粒ぞろいのコレクションのため査定金額を積み重ねると結構な数字になっているはずです。
32箱目を開けたときに目にしたのは・・・
速水御舟大成全3巻。とうとう真打ちの登場です。
いつだって大物はあとからやってきます 。
そして次の箱を開けると・・・
出ました『薔薇刑』。新版ではありますがそれでもやっぱり大物です。さらに英語版薔薇刑までセットです！
ご依頼人は本気でコレクションを整理にかかっているようです。
残りの数箱は消化試合・・・というわけではなく、最後までしっかりと査定いたしました。
トータルの金額は当然立派なものに。ご依頼人に申し上げると力強く頷かれます。
「もう倉庫の方はきれいになったんですか？」
「はい、あとは2階の書庫だけです。でもこちらはまだ・・・・」
「そうですよね、一気にやっちゃうと寂しくなりそうですし。ところで前回の出張買取で使用したみかん箱なんですが、集めるのも大変だと思うので一部今日持ってきました。必要ですか？」
「あ、そうですか。じゃあ頂いておきましょう」
急かすつもりはないのですが、何だか おわわりをする形になってしまいました。
またいつか声をかけて頂ける日を心待ちにしています。
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