2017-10-23
「2ヶ月ほど前に亡くなった父の本を買取、というか持っていって頂きたいのですが・・・」
というお電話を頂きました。
「どんな本ですか?」
とお尋ねすると
「本はあまり詳しくなくてうまく説明できませんが、いろいろ混ざっているような感じです。」
とのお答え。量もかなりあるそうなのでとりあえず一度見せて頂くことになり本日お伺いいたしました。
ご依頼人は私より少し年上の男性。お話を伺っていると
「古い文庫本などは邪魔になりそうなのですでに7箱分ぐらい処分したんですよ」
とのこと。その際あまりにも大変だったのでネットで古本出張買取店を検索し、当店にご依頼いただいたそうです。
ちょっと古くなった文庫本小説などは、お値段がつきにくいことが多いしなぁ、とそのときはそれほど気にかけてはおりませんでした。
本は1階の書斎と2階のリビングに置いてあるそうなのでまずは書斎から拝見することにします。
小さめの本棚と、壁一面ある大きな本棚があり、小さめの本棚の半分ほどは1冊も本がなくがらんどうになっています。ここにあった本を処分されたのでしょう。
下の方にある棚に講談社文芸文庫やちくま学芸文庫などが少し残されていました。古本屋がちょっぴり喜ぶようなあたりの文庫です。
「良いところだけ残しておいて頂いたんですか?」
「いえ、それらだけ箱に収まらなかったのでそのままにしておいたんですよ」
「え?こんな感じにカラフルなグラデーションの本だったり、上の方にオレンジのラインがある本だったり、下の方だけ青や赤・白・緑・黄色に色分けされている本ばかりだったんですか?」
「はい、全部こんな感じの文庫でしたよ・・・」
「Oh・・・」
思わずため息が出てしまいました。
「このあたりは欲しい方も多いので結構頑張ってお値段をお付けできましたよ、ちょっともったいなかったですね」
と、ご依頼人があまりがっかりされないよう少し控えめにご説明しました。
それでも意外なことに
「そうですか、最初から松尾堂さんをお呼びすれば良かったですね、そしたらあんなに苦労することもなかったし」
とはおっしゃるもののあまりがっかりされていません。
「この後この家を売却する話になっているのでお値段はつかなくても良いですから全て持っていって頂けないでしょうか?」
とかなり謙虚なご依頼人。
同じ部屋にある大きな本棚には内田百閒全集や『定本日本の喜劇人』をはじめとする小林信彦の大量の著作、黒澤明がらみの映画関連本などがありました。
2階のリビングには180cm幅の食器棚にギッシリと本が並んでいました。
新潮日本古典集成や、
勝海舟全集、
樋口一葉全集、
超ワイド版浮世絵大系
などニーズのある揃い物も結構あるのですが、どれもなぜか何冊か足りないないものばかり。
「こういう全集は全部揃っているかどうかで査定額がかなり変わってきますので、どこか別の場所にあるということはないでしょうか?」
とご依頼人に質問すると
「いや、ないですねぇ」と即答。たいへんお人柄の良さそうなご依頼人は書物と査定額にはあまりご関心がないご様子です。
全て拝見し、査定額をお伝えしました。ご依頼人は全て持っていって頂けるかを心配しているぐらいでしたから、ご依頼人が私に支払う金額と勘違いされていそうでしたので、”私がご依頼人にお支払いする金額”であることを強調しました。当店が本の処分代を請求することはありえません。
「いやぁ助かりました!ありがとうございます」
と大変喜んで頂けました。
本の量も多いため、電話で妻に救援に来てもらうことにし搬出開始。
途中で見知らぬ男性が押入の中の引き出しをガサゴソあさってアクセサリーなどを物色しています。
「え?空き巣?こんなに堂々と?いや人がいるんだから空き巣ではないか・・・」
と困惑していると、ご依頼人もやってきて何やらその男性とお話されています。
「ご親族かご友人かな?」
とホッと胸をなでおろして作業を続けていると、男性はある程度荷物をまとめて軽バンに載せ、どこかへ行ってしまいました。
「お友達ですか?」
とご依頼人に聞くと
「いえ、ついでなのでネットですぐ来てきてもらえる買取業者さんを呼んだんです。お金はいらないので持っていけるものだけ持っていって下さいとお願いしました」
とのお返事。お金には本当に頓着されていないようです。
「あ、そうそう、切手なんかは持っていってもらえないですか?」
と差し出されたのは
7冊のスタンプアルバムに入った日本の未使用切手。コレクション的な扱いというよりは金券として充分価値がありますので、妻に合計金額を計算してもらい、ご依頼人に査定額をお伝えすると
「ただでも良いのに、何か申し訳ないです」
と喜んで頂けました。ちょっと人が良すぎるご依頼人です。
途中援軍に来てもらったこともあり予想よりも早く搬出完了。
すっかりきれいになった本棚を見て大変喜んで頂けました。
松尾堂は皆様のお宅まで本・雑誌・DVD・CD・ゲームなどを出張買取に伺っています。
書籍に関しては昨日発売された新刊本から江戸時代のものまで幅広く対応できます。
所沢市・狭山市・入間市・ふじみ野市・三芳町・川越市・新座市・志木市・富士見市・東大和市・武蔵村山市・東村山市であれば少量から、その他の地域は数量と内容によって直接お伺いし出張買取させて頂きます。荷造り・運び出しの必要は全くありません。本棚に収まっている状態でも大丈夫です。
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