2016-07-01
「仏教関連の本が1箱ほどあります。できれば今日、出張買取に来ていただきたいのですが・・・」というお電話を頂きました。
「夕方5時以降でもよろしければお伺いできます。」とご説明し、即日訪問が成立しました。
指定されたマンションを訪ねるとすでに玄関扉が開放されており、ご依頼人である70歳代の男性が玄関口で待ち構えていらっしゃいます。ダンボール箱のなかを拝見すると仏教や仏像関連の本がきれいに収められています。
その中に紙焼きの写真が納められたポケットアルバムが混ざっていました。
それに気がついたご依頼人が
「その写真、私が彫った仏像なんですよ」とページをめくって見せてくれました。
「えっ、これ全部ですか?お仕事は仏師さんなんですか?」
「いえいえ、あくまで趣味です。20年ばかり続けています」とのこと。
素人目に見ても趣味の域を完全に超えたレベルです。大きさもお寺のお堂にあるような大きさのものもあります。
驚きながらじっくりと写真を拝見していると、奥の部屋から箱を持ってこられ、目の前で本体・台座・光背を組み合わせ高さ50cmほどの仏像が完成しました。これを彫り上げるのに2年かかったそうです。
「有名な仏師さんに教えてもらいながら続けています。大きな仏像はお寺に寄贈しているんですよ。」とのこと。ただただ感心するばかりです。
本の査定を申し上げると
「これらの本は仏像を彫るために参考にしてきた大切な本です。実はまだたくさん蔵書はあるのですが、価値が分かってくれる方にお譲りしたいと思ってきました。手元に残しておきたい本ばかりですが高齢なもので少しずつ手放すことを考えています。今後とも宜しくお願いいたします。」と嬉しそうにおっしゃって頂きました。