2016-04-04
「お値段はつかないと思いますからお金のことは全然考えていないんですが、処分をお願いしたいものがあるので来て頂けますか?」
というお電話を頂きました。
どんなものを整理したいのかお尋ねしたところ
「最近の本をはじめ30冊ほど、CDやDVDがいくつか、野上弥生子の全集が少々・・・」
という形で一生懸命思い出しながらお話されているのが伝わってきます。
電話でお伺いした限りでは買取金額はそれほどいかないと考えたのですが、お金はどうでもいいので、と切羽詰まったような感じでしたし、当店事務所から車で20分ほどの近距離だったので予約をお受けしました。
お電話の最後で
「松尾堂さんはマンガなんて扱ってませんよね?マンガも少しあるのですが・・・」
「もちろん扱ってますよ。マンガのタイトルは何ですか?」
「紙のシルクです。これは面白くて44巻全部持っています。だけどもう読まないと思うので持って行って下さい。」
というやり取りになりました。
当店はマンガ(特に全巻セット)も積極的に買取りさせていただいているのですが、時々このように堅苦しい本しか扱っていないと勘違いされることがあります。宣伝・告知の仕方がマズイのでしょうか。
「それにしても『紙のシルク』ってなんだ?44巻も続いているのだから人気コミックだろうけど、聞いたことがないなぁ」
「そもそも紙なのかシルクなのかはっきりしないタイトルだなぁ」
などとモヤモヤしていました。
本日お伺いして目の前の霧が晴れました。
リビングには『紙のシルク』ではなく『神の雫』全巻セットが並んでいました。
いやー、ちょっと考えれば分かりそうなものですが勘が鈍っていました。
『神の雫』全巻セットだけでもお伺いした甲斐がありましたが、他の本やDVD、クラシックCDもなかなかの物をお持ちです。
「ワインのマンガもいいですが、コーヒーの本にもいい本がありますね。」
と査定しながら感想を申し上げると
「実は以前、本格的なコーヒ専門店をやっていたことがあるんですよ。」
と仰るやいなや立ち上がり、
「今、コーヒーをいれますので是非飲んでいって下さいね。」と査定が完了していないうちからキッチンへ行ってしまいました。
買取結果としては、
『神の雫』全巻セット、西洋文化関連の単行本、CD、DVDの他に『中里恒子全集』『野上弥生子全集』がそれぞれ揃っており、まとまった買取金額になりました。
買取代金のお支払いをし、受取のご署名を頂くと、淹れたてのコーヒーを振る舞って頂きました。さすがにプロの淹れたコーヒーは本当に美味しかったです。
何十年も前から使い込んでいるというオーディオセットから流れるクラシックの音楽をBGMに、コーヒーまで頂いてしまい、優雅な出張買取となりました。