書棚の整理のご依頼を受け訪問しました。玄関ホールの壁に作り付けの本棚があり、かなり前にお亡くなりになられたご依頼人のお父様の蔵書が並べられています。美術書からサブカル,文学書,カメラなど様々なジャンルが混在している中、鉄道関連の本に特に良い物があり「ひょっとしてお父様は鉄道趣味があったのではないですか?」とご依頼人に質問したところ「大の鉄道好きでガラクタばかり集めて大変でした。少し前に大半は処分しましたけど、まだちょっと残っていて困っています」とのお返事が帰ってきました。
「恐縮ですが全部見せてもらえませんか?」とお願いするとボロボロのバッグに詰め込まれた戦前・戦後間もないころの鉄道雑誌や、ホコリまみれの鉄道模型、昭和30年代の硬券切符、はては庭に放置されていたという蒸気機関車のナンバープレートなどが続々とご家族の手により並べられてゆきます。ナンバープレートなどは庭の土やクモの巣がこびりついており、”発掘”とか”出土”という言葉がふさわしいような状態です。
「あまりにもボロボロなので査定してもらうのもどうかと思って、あえてお見せしなかったんですよ」とおっしゃるので「本の中ではこの鉄道雑誌がいちばん良いです。他の鉄道グッズも良いものばかりですよ」と申し上げると「うちではゴミのように扱われてたんだけど、不思議なものだねぇ」とご夫婦で顔を見合わせていらっしいました。
「すでに処分されたという鉄道グッズの中にはどんなお宝があったのかな?」との思いが浮かびましたが、ご依頼人には喜んでいただけた上に、貴重なグッズを少しでも救出できて良かったな、と考え直すことにしました。